アオリイカのお話。長いです。

こんにちは、ひろのしんです。
御無沙汰しておりました。
ようやく仕事も山を越え、落ち着きを取り戻しました…。
5年ぶりのシルバーウィーク、皆さんぜひ、事故の無いようにお過ごしください。
私も家の予定が詰まりまくってますが、隙を見て釣りに行ってくる予定です。
多分、夜エギングか、朝方シーバスか、でしょうけどね~。
案外日中ハゼ釣りかもしれませんが。
さて、今回は、少し長い文章を書いてみました。
じつは、以前からちょっとずつ書き溜めていたのですが、何とか連休前にアップしたかったので、無理やり終わらせてアップしました…。
ちょっと私的には書き足りない部分もありますので、それはまた別の機会に補足できたら、と思います。
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昨今のエギングブームは凄まじいものがありますね。
早朝堤防に向かえば、エギンガーだらけ。
老いも若くも、エギをシャクシャク…。
エギングロッド、磯竿関係なく、エギングを楽しまれています。
春の大型シーズンなんか特に、堤防がエギンガーでいっぱい、なんて事もありますよね。
早朝のコンビニがエギンガーで溢れかえってたりして、ちょっとビビります…。
ていうか、これイカより人のが多くね?みたいな…。
かくいう私も、数年前までは相当エギングにはまって、春は特に、キロアップを狙って県内を走り回ってました。
今も、その頃購入した3.5号のエギが相当数残っていて、時々使っています。
2kgアップはあまり釣った事ありませんが、1kgくらいはまあ、それなりに釣ってきました。
現在では春イカはほとんど狙わなくなりましたので、個人的に大型はめっきり姿を見なくなってしまいました。
ただ、秋の新子シーズンは、サイトフィッシングが楽しい&食味も良いのもあって、昔ほどではないですが、続けております。
さて、そんな人気のアオリイカ。
ここでは、いろんな釣りの雑誌、ブログを始め、アオリイカを研究されている方の本などを読んで、私が「これは釣りに役立ちそうかな」と思って記憶し、利用している事を上げておこうと思います。
特に、エギングを始め、これから釣りを始めようとしている方、始めて間もない方なんかが、ポイント選びなんかの参考にしてくだされば幸いです。
ベテランの方は「ああ、こういう考え方もあるんだな」くらいで読んで下さいね。
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さて、アオリイカとは何ぞや。
①、軟体動物である。
②、フィッシュイーターである。
③、夏に卵から孵り、秋~冬に成長し、春に卵を産み、死ぬ。
④、おいしい。
…あ、こんな事皆さんご存知ですか。そうですか。
では、それぞれちょっと掘り下げてみましょう。
【①、軟体動物である。】
皆さんご存知の通り、アオリイカは軟体動物です。
軟体動物といえば、イカやタコ、貝類、陸上でもナメクジやカタツムリなんかがいますね。
体が柔らかく、一部に「殻」を持っているものも多いです。
イカの胴にある、通称「イカの船」は、貝殻と同じようなものですね。
ちなみに、軟体系では、タコが進化上No.1と言われています。
不完全ながら血管もあり、知能も高く、陸上を這って移動できる力を持つ、軟体動物の超エリートですね。
その知能は、なんと人間の幼児(4歳程度)に匹敵するとさえ言われています…。
まあ、私には刺身・から揚げ・天ぷらのネタにしか見えませんが。
そんな軟体動物は他の生物に比べ、環境の変化にものすごく弱いです。
ちょっと生育環境が悪化すると、一番最初にいなくなるのは彼らです。
すこし専門的な話を。
ナメクジに塩かけたら死にますね。
よく「塩でナメクジが解ける」なんて言いますが、塩によって体の水分が抜かれ、縮んでしまってるんですね。
これは、「塩」が水分を取り込む性質を持っているからです。
ナメクジの体の水分が、かけられた塩の方に「移動」して、水分が体から抜かれてしまっているわけです。
逆に、水道水のような真水=淡水は、体の中に入り込もうとします。
お風呂に入ると、指などがふやけてしまう理由ですね。
これは詳しくは「浸透圧」という、溶液のもつ性質の話になるのですが、ここでは割愛。
簡単に、
「塩水」→体から水分を取り除くよ~。
「淡水」→体に入り込むよ~。
くらいに思っていてください。
ちなみに、上のナメクジとは逆の話。
ゴカイなどの生餌を使われる方は、雨がゴカイに当たらないようにすると思います。
海水で普段住んでるゴカイ君たちに、淡水である雨がかかるとどうなると思いますか?
ちょっとかかったくらいならともかく、溜まった雨水にでも落そうものなら、冗談じゃなく、のたうち、暴れ回って地獄絵図です…。ビビります…。
さて、上の話をふまえまして、アオリイカの住む海の話です。
海は「塩分濃度」が高いので、そこにすむ生き物の体は、水分が奪われないよう、体内の環境が調整されています。
そんな生物の住む海に、雨が降ります。
雨=淡水と、ここではお考えください。
少々の雨ならそこまで影響はありませんが、梅雨時期や秋雨など、数日間続くような雨や、台風など、災害が起こるような大雨。
このような雨が降ると、当然、海にも影響が出てきます。
大量の淡水の流入によって起こる、海水の塩分濃度の低下、通称「水潮」。
普段の海水の塩分濃度で生活している生物は、当然体内の調整がうまくいかず、場合によっては死んでしまうため、影響の少ない場所へ一斉に避難、姿を消します。
上で述べた通り、アオリイカなんかの軟体動物は、特にその影響を受けやすいため、淡水を特に嫌います。
スズキやクロダイ(チヌ)のように、普段から汽水域をウロウロしてるような頑丈な奴もいますが、淡水と海水を行き来できるということは、それだけ体の適応能力が高いという事です。(詳しくは腎臓フル回転のお話になるので割愛)
海水から淡水(河川)に戻る事で有名なものに「サケ類」がありますが、彼らは約1か月程度、河口部などの汽水域で生活して、淡水に体を順応させてから、遡上を開始するんですね~。
それくらい、淡水と海水を行き来するのは大変な事なんですね。
さて、上の話を総括。
・大雨が降ったり、雨が降り続いた直後に、海への大きな流れ込み(河川近くだけでなく、大きな側溝なども含む)がある近くでは、軟体系は狙わない方がよい。
・大雨直後に、流れの少ない漁港内では軟体系を狙わない方がよい。
こんな感じでしょうかね。
自然相手ですから、時と場所によって当然違いはあります。
まあ、大雨の後なんかに釣りに行く際、私がポイントを絞っていく時に使う考え方の1つをご紹介した、くらいで捉えてもらって結構です。
基本、大雨の後、すぐにエギングにいく事は、私はしません。
雨後はやはり、河川なんかでスズキなど狙いますね。
ちなみに「水潮」ですが、雨が止んで、潮が一回り(1日)すれば、かなり回復してくるようです。
海の状況が回復してくれば、次第に、深場に避難した生物たちも戻ってくるでしょう。
災害が起こるような大雨の時は、淡水の流入が結構長く続くので、その限りではありませんが…。
雨が降り、水潮にならない程度に、側溝などから水が入ったりすると、その場所にプランクトンが湧き、それを餌とする魚や生物たちが入り、さらに集まった魚などを餌とする「フィッシュイーター」が入り…と、好循環が起こる事もあります。
特に漁港や湾奥なんかの潮があまり動かないような場所。
晴れが続いた後なんかに、半日くらいざっと降り、止む雨。
イカに限りませんが、この翌日以降がねらい目になったりするんですね~。
例えばアジングの時に、新規のポイント探し、釣り場でアジを見つける時の1つの判断材料としても使えるかもですね。
余談になりますが、「城下カレイ」や「関アジ・関サバ」何かで有名な豊後水道。
あの辺りは、海底に湧水(淡水)があり、そのため餌が豊富。海流などの影響もあって、そこに住む魚がおいしくなると言われています。
海釣りには淡水は、良くも悪くも1つのキーポイントになるわけですね。
有名な話ですが、山(山林)が海に近い方が、海の中が豊かと言われています。
山に降った雨水が、地下水や川となり、海へと流れ込む。
当然、山の自然が豊かであるほど、流れ込む水に栄養分が多く含まれています。
豊かな陸の自然は、豊かな海につながるわけですね。
【②、フィッシュイーターである】
アオリイカは、皆さんご存知の通り、フィッシュイーターです。
だからエギ=ルアーで釣れますね。
エギ自体は魚を模しているのか、エビ類を模しているのかは諸説ありますが、少なくとも、イカやタコなんかにも効果的な形・動きをしているわけです。
エギ自体、元々は漁具ですしね。
かつて私がニュージーランドへ旅行した時(10年も前の新婚旅行…)、現地の釣具屋2~3件に突撃したのですが、日本のエギが、そのまま売られていました。
日本の漁具の凄さは、世界でも認められているのですね。
実際、ニュージーランドでも、エギを使ってイカを釣る方は多いそうです。
釣ったイカは、もっぱら釣り餌として使う事が多いようですが。
ちなみに、漁具としてのエギは、釣り具の1つとしてメーカーに取り込まれた事で、カラーや形などが現在のように増え、進化してきたようです。
沖縄など、大型のアオリが釣れる地域(厳密に言えば、沖縄と本州のアオリイカは亜種関係らしいですが)の漁師が使うエギは、カラーは真っ黒、色自体も炭焼きで付けたもの、みたいなものがあるようですね。
そして、漁師がイカを狙って釣るのは、夜がほとんどらしいです。
ひと昔前…「エギング」という言葉のまだなかった頃は、エギでイカを釣るのは夜が常識でした。
それを、2段シャクリ、専用エギの開発など、釣り人の力によって、イカを「昼釣れる」ものに押し上げたわけです。
今では漁師の方が、エギングのノウハウを実際の漁に使用されているくらいらしいですね。
ちょっと話がそれましたが、カラーの話。
「夜に黒い色?」と思われるかもしれませんが、ルアーを使われる方はご存知でしょうが、海の底側から見上げた時、黒はシルエットを見せるカラーですね。
目の良い種類の魚やイカなんかには、充分に判別つくわけです。
以前の記事で、ちょろっと「イカは目が発達してるけど、脳が無いから処理できない」と書いたことがあります。
しかし実際には、イカは「目」を使ってエサを見つけ、追う割合が高い事らしいのです。
匂いなどを判別する器官もある(足などにある)らしいので、当然そういう情報も、餌をとるために使われているのでしょう。
(私個人としては、新品で購入してきた「エギ」を、自宅や釣り場で開封し、それをそのまま使ってイカを釣ってるので、「匂い」はあまり関係ないような気がしてならないのですが…。エギが魚臭いか?という事)
イカは、キラキラと光が反射したり、実際に発光するようなものに、興味を示すようです。
イカ釣り漁船が光で海面を照らしてイカを寄せたり、研究者がイカを寄せるのに、発光体を沈めて使用したりするのは、その習性を利用したものでしょうね。
エギの表面に金や銀、ホロなどのメタリックテープが使用されている事は、私たちが思っている以上に、イカにとってはすごく魅力的、興味を惹かれるものなのかもしれません。
また、イカ狙いで夜釣りする際に一番良いのは、月の明るい満月の夜と言われています。
アジやメバル、他の魚などは、常夜灯なんかの集魚効果が薄まる(魚が散る)ので、満月はあまり良くないと言われることも多いようです。
月が明るい=イカにエギを見つけてもらいやすい、と考えると、やはりイカは、目で餌を追っている割合が高いと考えるのが自然ではないかな~と、個人的には思うんですけどね。
余談ですが、「目の良い魚といえば?」と言われたら、まずはメバルを思い出す方が多いのではないでしょうか。
実はスズキ(シーバス)の視力も相当良いらしく、夜間の水中での視力は、人間の0.1相当とであるという研究結果もあるようです。
側線なども当然利用しているのでしょうから、エサの探知能力は相当なものでしょう。
ルアーもしっかり見られていると思った方が良いかもです。
そう考えると、やっぱり、カラーって重要なのかもしれませんね(笑)
ちなみにエギの背中のカラーは、当然イカへのアピールもあるのですが、私が思うもう一つの重要な役目は、釣り人からのエギ自体の視認性確保です(特に日中のサイトフィッシング)。
オレンジやピンクは、エギを操ってる人間からも良く見えますからね~。
(ここでは、海中深くに沈んだ時など、可視光が届かない場所での色の見え方は割愛。)
あと、イカはキラキラしたものに好反応、と書きましたが、イカは「色の判別がつかない=世界がモノクロに見えている」、という研究結果もあるようです。
エギのカラーに関しては、イカにとっては「色差」というよりも、「色自体が持つコントラスト、濃淡の差」というくらいなのかもしれませんね…。
まあ、カラーや形、テープに一番こだわり、釣られるのは、他でもない、我々釣り人なんですが(笑)
【③、夏に卵から孵り、秋~冬に成長し、春に卵を産み、死ぬ。】
春は産卵前の大型、秋は生まれたばかりの新子、小型です。
当然個体差がありますので、遅生まれのイカ(春イカでもあまり大きくない)は、他のアオリがほとんど産卵を終え、死んでしまった夏場にウロウロしているのを見かけたりします。
逆に早く生まれたイカは、12月くらいの水温が下がり切る前の時期に、キロアップになったりしてますね。
もちろん、その海域のベイト量などでも、大きさの違いが出るのでしょうけどね。
春の大型はともかく、秋の小型については、湾や漁港なんかによく溜まっているのを見かけます。
おそらく、他のフィッシュイーターに狙われるのを避けるため、というのもひとつの理由でしょうね。
夜、秋アオリを狙われる方は、潮の流れが当たる堤防なんかで釣りをされる際、潮が緩んでいる場所にある藻と藻の間や、藻のすぐ上なんかを、スローリトリーブのみで狙ってみて下さい。アクションはほとんど不要です。
近くに常夜灯があって、藻が明かりと暗闇の境目あたりにあるなら、なお良いかもです。
ハマれば、1キャスト1ヒットな事もしばしばです。(30分で15杯程度とか)
エギングに造詣が深い方はご存知でしょうけど、リトリーブのみって意外にイカが釣れますもんね~。
子イカが、自分たちの身を守りつつ、安全にエサを取ろうとしたら、どんなところにいるか…。
イカの気持ちになってみましょう(笑)
【④、おいしい。】
まあ、わざわざ私が言わなくても良いことですが(笑)
アオリ狙いのほとんどの方は、食べる事目的でしょう。
大型の春アオリ、小型の秋アオリ、甲イカにケンサキ、ヤリ、スルメ…。
好みは人それぞれだと思います。
まあ、あえていうなら、春の大型アオリは、さばいた後一度冷凍したり、2~3日冷蔵庫で寝かした後の方が、身も柔らかくなり、甘みも増して、より美味しく食べれるかな~と思います。
私は秋アオリを、釣ってすぐ、胴の海水を抜いて、作ってきた醤油だれに生きたまま入れておく、いわゆる「沖漬け(陸漬け?)」にする事が多いです。
そのまま持って帰った場合には、以前の記事で紹介した、「イカ丼」になりますね。
春アオリや、他のイカ(特に甲イカ系)は、イカ丼もですが、天ぷらや湯ぶり(湯引きを酢味噌で)、バター炒めや煮イカのような、火を通した料理の方が多いですね~。
冬場に釣れるヤリイカ・ケンサキイカなんかは、やはり刺身で食べる事が多いです。
他にも定番の塩辛、イカの握り、イカキムチ、イカのオイル漬け、カルパッチョ、イカスミパスタ、イカのトマトソースパスタ…と、色々作ります。
料理の豊富さも、イカを狙う事の魅力のひとつでしょうね。
ぜひ、イカ捌き&料理にチャレンジしてみて下さい。
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長くなりました・・・。
釣りを科学するではないですが、対象の生態を知る事も、釣果アップの重要な要素です。
私の場合は特別そういうのが好きなので、水族館に行ったり、そういうサイトや本なんかを読んだり、番組を見たりするのですけどね。
相手は自然であり、生き物ですから、うまくいかない事の方が多いかもです。
でも、自分なりに知識を付け、考え、判断する事は、釣りに限らず大事な事ですから。
うまくいく経験も、そうでない経験も、どちらも重要ですね。
あと、エギングされる方だけではないですが、ゴミや、墨跡などの後始末は必ず行うようにしましょう。
貴重な釣り場を失う事が無いよう、我々自身が自覚しないといけない事ですね。
そして、新子シーズンのように、小さいのがたくさん釣れる時期なんかそうですが、自分や家族が食べる分ほど、持ち帰るくらいにしておきましょう。
小さい奴は、「大きくなってから戻っておいで」という気持ちでリリースしてやる余裕も、我々釣り人には必要だと思います。
次の世代に、また次の世代に…と、繋がっているわけですから。
あ、エギングしてたら、結構エギを魚が追っかけてくる事が多いと思います。
スズキがバイトどころか、ヒットして走られるなんて事も、私自身相当あります。
エギの動きは、魚にも魅力的、という事ですね。
ブリーデンが売り出してる「minimaru」シリーズが、まさにエギ型ルアーのそれですね。
1つ2つ、エギと一緒に持っておいても良いかもです。
ここまで長々と、私の駄文におつきあい下さりありがとうございました。
あくまで私個人のポイント選びなんかのための知識でしたが、ちょっとでも皆さんの参考になれば、幸いです。
では、皆さんの好釣果をお祈りしながら、今回はここまでとさせて頂きます。
しっかり釣りに行って、楽しんできましょう!

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